地域おこし協力隊OB・OG紹介~中田晃司さん~

(人が集い、地域の魅力を発信するカフェ「SNOW DRIP COFFEE」
地元民からも観光客からも愛されるお店で、
中田さんに会いに今日も多くの人が訪れます)

「仙崎の軒先より・・・笑顔と珈琲の香りを。」

中田 晃司さん 30代 山口県光市からIターン
カフェ「SNOW DRIP COFFEE」経営

中田さんが長門市に来るまで(移住の経緯)

 移住前は会社員として工場で働いていたのですが、コーヒー好きなことから休日はカフェ巡りを楽しんでいました。そこで出会う人達との何気ない会話から生まれる人と人とのご縁や、その時に感じる幸福感がとても好きでした。日に日に「こんなカフェを自分で始めることができたら素敵だろうな」という気持ちが強くなり、カフェ開業を目標に山口県主催のソーシャルビジネスコンテストに応募しました。プレゼンを聞きに行った際に偶然長門市の地域おこし協力隊の方と出会い、話をする機会がありました。そこで初めて“地域おこし協力隊”という制度の存在、長門市仙崎地域で、空き家の活用及び地域活性をミッションとする協力隊を募集しているということを知りました。おもしろそうな募集だと思い、興味を持ったので、早速仙崎地域を訪れたところ、まちの雰囲気に一目惚れ。「ここに住んでみたい!将来的にこの場所でカフェを開業できたらいいな」と思いました。

 協力隊という制度を通じて3年間、仕事として地域の活性化に携わりながら、夢の実現に向けてチャレンジできることにとても魅力を感じました。家族会議を重ね、妻が「やってみたら?」と背中を押してくれたこともあり、チャレンジすることを決めました。当時妻も仕事をしており、子ども達もまだ小さく、一気に環境が変わってしまうことはリスクが大きいと感じたので、最初は家族を残して一人長門市に移住しました。

定住するということ(自身の決意と家族の同意)

 移住当初は、妻に仕事を辞めてもらってまで一緒に来てもらうべきなのかどうかという葛藤がありました。ですが移住して1年くらいたった頃、仙崎のまちで暮らすうちに、自分の中では将来的にもずっとここに住みたいという思いが強くなりました。家族で話し合いを重ねる中で自分の本気度が伝わったようで、妻が「私もやりたい仕事が見つかれば仙崎に住むよ」と言ってくれました。

 家族を仙崎に呼ぶにあたり、本当にここに家族で住めるのか、どういう保育施設や学校があるのか、子育て環境は?などと、色々調べました。一人で移住するのと違い、家族での移住は本当に様々な要素が関わってくると思います。人それぞれ想いや希望の条件は違うと思うので、この場所がみんなにとって良いとは一概に言えないですが、僕達家族はこの場所で、楽しい日々を送っています。

▲休日に自宅から徒歩圏内の海でSUP
▲庭先で家族とやきとりBBQ

地域おこし協力隊として活動して感じたこと

 協力隊時代は、地域のニーズに応えながらも、自分の夢に向けて割と自由に活動させてもらいました。担当してくれる市役所職員さんとの定期ミーティングや協力隊合同ミーティングなど、サポートも充実していると思いました。また長門市は協力隊退任後、定住された先輩協力隊員が多く、皆さん本当に良くしてくれました。人脈があり、指針になるような人、アドバイスをくれる先輩の存在は大きかったですね。

協力隊時代はどのような活動をしましたか?

 協力隊時代は、仙崎地区の活性化を目的にさまざまな活動をさせていただきました。活動内容は幅広かったのですが、主に「みすゞ通りの活性化」「交流人口の拡大」「定住促進」「情報発信」などの活動に取り組みました。

 「みすゞ通りの活性化」に関する活動では、みすゞ通りの空き家や空き地を活用した「仙崎軒先ツバメMARKET」というグルメとハンドメイドのイベントを開催したり、仙崎の昔の風景、リヤカーの行商からインスピレーションを得て、みすゞ通りの軒先にリヤカー屋台を設置して、青海島の温泉水で淹れたコーヒーと地元の食材を使ったホットサンドを販売しました。

 「交流促進」に関する活動では、金子みすゞの詩に登場する絶景スポットをレンタサイクルで巡るツアー「仙崎チャリ旅~仙崎八景と廃校カフェ~」や、仙崎の海や景色の魅力を伝える目的でSUPのマリンスポーツイベントを実施しました。「定住促進」に関する活動では、自治会長や地域の方のご協力を得ながら、空き家情報を収集して、空き家所有者と居住希望者とのマッチングを行ったりしました。

▲協力隊時代 リヤカー屋台でコーヒーを提供
▲レンタサイクルで巡るツアー「仙崎チャリ旅」

仙崎周遊ガイドブック「グルメぐり-仙崎-」を制作

 コロナ禍で飲食や交流に関わる活動が難しくなる中で、協力隊活動の集大成として、主にグルメ情報を掲載した仙崎周遊ガイドブック「グルメぐり-仙崎-」を制作しました。活動する中で、多くの仙崎の魅力に触れ、観光客へ向けてどのように情報を伝えるべきか悩みましたが、長門市の協力隊担当職員の方と協議を重ねながら、グルメを軸にオススメスポットを1冊に凝縮することにしました。完成したガイドブックは「道の駅センザキッチン」など市内の観光施設や、飲食店、県内の道の駅など、約140ヶ所に設置しました。ガイドブック片手に町を周遊する観光客を見かけたときは、仙崎を楽しんでいただくきっかけになれたのではと感じ、嬉しかったですね。

▲協力隊時代に作成した冊子「グルメぐり-仙崎-」
▲市内・県内の道の駅など約140箇所に設置

どんな人が協力隊員に向いていると思いますか?

・ある程度コミュニケーション能力があり、人が好きで、自分の想いもありながらフットワークの軽い人。

・バランス感覚があり、自分のやりたいことが地域の為になっているかどうか考えながら行動できる人。

・地域の為の活動が、最終的には自分に返ってくると思うので、そういうことを積み上げられる人。

・本気で活動を楽しめる人。

一歩前に出ると、見える景色も違ってきます。興味のある人はぜひ応募してほしいと思います。

地域おこし協力隊を検討している方へのメッセージ

 私の場合は、地域の方々や先輩協力隊員のサポートに恵まれ、3年間の活動を行うことができました。協力隊活動中に行ったさまざまな活動が今の暮らしに活きています。協力隊として、自分のスキルや特技を生かしつつ、地域の方との関係づくりを行うことで、地域が少しずつ楽しくなっていく実感が湧いたり、自分自身の夢に近づくきっかけを作ることができると確信をしています。長門市を一緒に盛り上げていきましょう!

▲山頂で青海島の温泉水のコーヒーを振る舞い中(協力隊時代)
▲今でも協力隊OBOGとの交流は続いている

退任後に起業(カフェ「SNOWDRIPCOFFEE」オープン)

 3年の任期を経て協力隊を退任後、金子みすゞ記念館近くの空き家を改修し、夢だったカフェをオープンすることができました。元々あった畳を活用した小上がりを設置するなど、観光客だけでなく、地元の人が気軽に足を運べるようなアットホームなお店になるように心がけました。仙崎は観光地でもあるので、観光客メインのコンセプトも考えましたが、コロナ禍に一番気にかけてくださったのが、地元の方だったので、まずは地元の人が立ち寄りやすい場所、雰囲気作りを意識しました。

 もちろん仙崎に遊びに来てくださる観光客の方々に対しても、少しでも「仙崎に来てよかったな」と思って帰って欲しいという思いもあり、お店の入り口のドアに仙崎の町案内の地図を設置するなど、観光客の方へ向けては町案内的な役目も果たす外装にしました。短時間の滞在でも仙崎のまちの雰囲気を感じて帰ってもらえたら嬉しいです。

▲「中田さん、がんばっちょるかね?」と地元のマダム達
▲観光客の方に話しかける中田さん

コミュニティカフェを目指して

 店内ではコーヒーを片手に、地元の方が観光客の方に話しかけるシーンを良く目にします。山口県内のカフェ巡りをしている方から「こうして自然に会話が始まるお店って中々無いですよね。なんだかとても居心地が良いです。」と言ってもらうことも多く、とても嬉しい気持ちになります。

 仙崎は漁師町として栄えた歴史があり、商店街が栄えていたころは、地元住民と観光客の会話が日常的に行われていたみたいなのですが、今は閉鎖してしまった店舗も多く交流が減る中で、少しでもまちに賑わいが生まれ、地域の輪を広げるきっかけの場所となるように今後も活動していきたいと思います。

▲中田さんの醸し出す優しい雰囲気もお店の特徴の一つ
▲インタビュー時、地域の人がイカをおすそ分けに
来てくれるシーンも

これからの夢を教えてください

 協力隊として仙崎に来た時から、カフェ+ゲストハウスをやりたいと思っていました。昼間だけでなく、夜の仙崎もしっかりと楽しんでほしい。より地域の人と交流ができ、まちの雰囲気をしっかりと感じてもらえるような場所・人と人が繋がれる場所を作りたいと思っています。

移住を考えている人へのメッセージをお願いします

 僕は地域おこし協力隊をきっかけに32歳の時に長門市に移住してきました。家族4人(妻、息子、娘)で楽しい長門ライフを送っています。

「長門市に興味がある!長門市が好きだ!長門市に住んでみたい!長門市で起業したい!という方、ぜひお話ししましょう!」

▲「お気軽にお店に遊びに来てくださいね」

─お店情報─

SNOW DRIP COFFEE

住所 山口県長門市仙崎1428-1

電話 090-8068-2467

営業時間 9:00~17:00

定休日 水・日

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